少林サッカー 汚しの美学
10年くらい前に流行していたこちらの映画。
観る機会に恵まれませんでしたがこの度初鑑賞。
10年くらい前と思ってたけど2001年公開だって…
軽く15年経ってた汗
最近は数年前の出来事かと思いきや10年15年前ということがザラで中年期に突入してるという事をひたすら噛み締めるしかない。
で、肝心の少林サッカーなんですが。
ハチャメチャ。
ハチャメチャって週間少年ジャンプの黄金期あたりまでの要素というか
男のDNAに刷り込まれた、男のロマンなんですね、了解致しました。
という感じの。
嫌だったら即観るのやめるだろうし、それ以外は四の五の言わず観ろ。
それだけのシンプルなもんです。
それでも特筆すべき点は
妥協無き“汚し”への執念。
映画の美術担当の人も、よくぞここまで衣装や靴を徹底的に汚し加工したものよ。
鑑賞中はもっと汚い印象だったけど・・・
その後この芸術的なほどドラマティックに汚い靴は ゴミ箱から掘起こされて劇的なリメイクを果たす。
ハム太朗!
そのほかも、ボロボロにすすけた服や寝床などなど・・・
スクリーンを通してまるで香りまで漂ってきそうな凄まじさ。
スタッフさんがもはや全力で面白がって楽しんでそうだな、と思えるほどの
徹底的な悪趣味ファッション+汚しの美学が冴え渡り、
汚せる限り汚して
身なりも自尊心も堕ちるところまで落として
そこから
主人公達がスターダムを駆け上がっていく勢いのあるさまを大いに盛り上げ
よって映画の前半とクライマックスの対比がかなりのハイコントラストとなり
大爆発的なハレーションを起こす壮大な企画だよね。
それくらい、
目を背けたくなるような
作りこまれた小汚さ演出が見事でした。
加えてこの映画、
元気がないと耐えられないような強烈なキャラしか出てこない。
いちいち突っ込んでられないくらい全員何かしら重大なツッコミどころをお持ち。
悪の親玉のこの方は
たかじん先生とワ〇ミの社長さん
をフュージョンさせたようなルックスと戦闘力の高そうなヘアスタイルで最後まで一番コッテリしていたし。
一瞬しかでてないヘアサロンのおねえさんは、何故だか忘れられない雰囲気をお持ちだったし。
そのヘアサロンから出てきたヒロインも完全に覚醒して
スカウターも測定不能
という戦闘能力の高さ。なにげにヒロインは形態を2~3度替え、完全覚醒し最終形態に達するのは決勝戦のシーンとなる。
このひとだけはやけに髪サラサラだし衝撃で服全部破けるしで
盛大に突っ込みたくなりました。(決勝戦のゴールキーパー)
こういうルックスの人、いるよね・・・
しかし…
主人公と仲間達意外の脇役でこの破壊力だからね。キャラ。
清潔感は徹底的に排除して、
品性も洗練も無視して
暴力的なくらい差別的で残酷。
ダサさをディティールまでこだわって追求して
世界観を他にない唯一無二なものにしてる。
実は完成度の高いクレバーな作品じゃないかって
今となっては思ってしまう。
乱暴なCGも計算だよね・・・とまで思わせる。
ん~ ん~
なんか思い出す・・・と翌々日あたりに悶々していたら、
・・・これだ・・・
漫[F]画太朗先生の『地獄甲子園』。
wikiには1996-1997年連載とあるけど
20年 経ってる・・・!!!! 嘘・・・
別の意味でショックを隠せない。
話を戻しまして
地獄甲子園は、極悪非道のラフプレーで死人がでちゃう?高校野球の物語。
汚さもバイオレンス具合も似ている。。
まず最初の
登場人物紹介とあらすじだけで笑える
ハイティーンの私のハートを鷲づかみにした二頁。
乱暴だなあ。
こういうのも。
後味がにている。
これだけやりたい放題で下品ではちゃめちゃなのに、
独特のポジションに君臨しつづけ愛される 漫[F]画太朗。
そんな画太朗先生とチャウ・シンチー監督に同じものを感じるのかも。