Kitajima Yuko Blog

画家。画業や雑記など

『ブルーに生まれついて』 紐解けない天才問題について

 

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やっと!来週公開の 映画『ブルーに生まれついて』。
レビューというか、またも天才という生き物について。


ちゃんとしたレビューは

92 映画『ブルーに生まれついて』 | KITAJIKO | BLOG | ファッション雑誌『装苑』のオフィシャルサイト ファッション、ビューティ、カルチャーなどの厳選した情報をお届け! 装苑ONLINE

から。

音楽に詳しい方や、50年代のカルチャーに明るい人の、映画、音楽、時代背景についての詳細かつ専門的なレビューはあるので、私は感じた事を書こうかと。ブログだし。


まず、音楽って流行した当時の時代の気分ありきな気がして。


果たして今私が聞いているこの音楽は
魅力の何割感じる事ができるのだろうか、

といつも思ってしまうんです。

その温度差がありながら、映画のなかの歌や演奏を聴きながら泣きました~
ただただ、良い映画だったんだと思う。

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本作は、実在した伝説のトランペッター チェット・ベイカーの伝記。

実在の人物ですのでネタバレ以前の話なのですが
チェット・ベイカードラッグ中毒でスターダムから転落。再起不能と言われた状態から這い上がるまでのお話が今回の映画に。

 

ドラッグは縁遠いものと思っていますが、怖いです。
なにが怖いって切っ掛けがたいしたことない程怖いものは無いなと思います。

こうやって入ってこうやって出れなくなるのか
上手く回っていると持ち上げられ、調子に乗り、あるとき突然地獄に堕ちる。


天才は大変だ。
儲けられる可能性のある才能だもの、そりゃ目立つし色々寄ってくるでしょうね。
トラップの数が通常の数百倍ってかんじ。
なんとなくマイク・タイソンとかが過ぎります。
凄腕マネージャーや鉄の意思が無いとダークサイドに即堕ちるよね。


天才じゃなくても、甘い誘惑はちょいちょいに落ちてるので、全てを疑わない程度に調子に乗らない強さが欲しいわ。

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そして

ヒロインのジェーンは女優としての成功を夢見て努力する女性。

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夢の為にオーディションにも精力的に挑戦、色々工夫してチャンスを掴もうと頑張ってるのですが、チェットは

女の成長を大事にできない系天才。
エースをねらえ!の宗方仁は、妄想上の理想像としても。

君はいつでも俺の応援をしてくれるんでしょ?
といわんばかり。


オーディションより俺じゃないの?俺の一大事だよ?
なにアレ浮気してるの?!

など 残念感ハンパないですが 不安に駆られるとわからんでもない。

天才ならずとも人のふり見て気をつけたい事例であります。

 

そして
「私がいなくちゃ この人・・・」

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という母性に訴えてくる天才もまた、

女泣かせといえよう。

 

前回のゲス系芸術家像とは微妙に違うが、
危険性中毒性は似たようなものでしょう。

 

全編を通してヒリヒリとした痛みが。

 

でも後半の歌&演奏シーンは、泣いた!ので

ハンカチ忘れないでね。

 

蛇足の蛇足で映画観ながららくがき。
タバコを吸いながらレコーディング、タバコかマウスピースかどっちかにできない口さびしい感じが、甘え上手の一人っ子男子な感じ。と勝手に勘ぐる。

50sヘアとおでこのシワ、たまらん。

 

原題:「BORN TO BE BLUE」
公式HP http://borntobeblue.jp/

11.26(土) Bunkamuraル・シネマ ほかにて全国ロードショー!

『エゴン・シーレ 死と乙女』 より紐解く『なぜ男性芸術家はモテるのか』問題について

こんにちは。
先日、映画『エゴン・シーレ 死と乙女』の試写会へ行って参りました。 

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www.youtube.com

 


こちらのブログでは、補足として個人的感情をぶつけてますのであしからず。

さて。
シーレ役のノア・サーベドラはモデル出身のイケメン。

 

この無機質なモデルっぽいイケメン具合が、
エゴン・シーレの華麗なるゲス(昔の流行語)っぷり

見事に表現しているような気もします。

ナルシストでエゴイストっぽいシーレの顔にも似てる気がしてくる。

すごく演出がうまい。
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この年は文春効果でゲスというちょっと口にするのに躊躇する男性像が市民権を得、

広く使われあっという間に消費される単語となり。

 

 

しかしながら、今更 流行るまでもなく、かの言葉は


いにしえより
芸術家と枕詞でセット販売。

 

実直で不器用 または ゲス
というのが2トップ
かも知れません。

(もちろんニュートラルな芸術家もいる。でもまあ2トップが芸術家然としていてスキャンダラスで破天荒で目立つということでしょう…)


「シーレ 男として最悪だなー。でも絵カッコイイんだよなー
しかし本当に絶対付き合いたくないタイプだわー
でもいい絵なんだよなーもーーー!」

 と思いながら映画を観ておりました。

 

昨年観たターナーの映画(『ターナー、光に愛を求めて』)でも、ターナーったら気ままにフラフラ旅して港に女を作って、自分の事しか考えなくて当たり前、そして当たり前のように献身的にターナーに尽くす女性の存在が複数!当たり前のようにひとりじゃないんですよ…

youtu.be

あんなにダメなのに、あんなに〇〇なのに。

でも絵カッコイイんだよなー天才だわー。と思いながらこちらも鑑賞。


何故天才芸術家には(芸術に理解を示し)甲斐甲斐しく寄り添ってくれる女性の存在があるんだろう!?それもかなりの高確率だ!


因みに女性芸術家はそのような事例をあまり聞かない。
女優とかだったら破滅する男の話はゴロゴロ転がってるけど
そこには男を狂わす美がある。職業以前の大前提に美女であることね。

 

それは分かる。美人は無条件にイイ…。

 

その美に相当する価値が、ゲス系芸術家男性にはあるってことですよね。

なんなんだろね。

 

わからん。

 

私、自分自身も描き手なので、全然わからない。(わかるのが怖いw)

 

 

まあ、でも映画化向きの華麗なるドロドロ具合ということもあるかも。

シーレの芸術観・エロスへの想いというのは非常に画になる。
かすかに死の匂いがして詞的。

ただただ、そういうことなのかもしれないけど。

 


【描く事】を何より優先して、遠慮なくまっすぐやりたいようにやるエゴン・シーレ嫉妬する そんな映画でした。

芸のためなら女房も泣かす 


自分の信じる芸術の為に、ここまで自分勝手になれたら(しかもそれすら受け入れて貰えるミューズつき)画家冥利に尽きるでしょうね。
到底真似できない。



今、才能溢れる天才に恋してる方に特に観ていただきたい♪

ゲスに尽くすなとか苦労するわよ、とか 野暮な事は言わないから、


盛大に天才をけし掛けて

偉大な作品創造に一役買って欲しい。

 

 1月 28日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
公式サイト:http://egonschiele-movie.com/
配給:アルバトロス・フィルム

 

2022年追記:
ゲスゲスってもはや誰も使ってない懐かしい言葉になったなー
もう7年か。
3年前には追いシーレで新たな映画があったのですが、育児で観れてないから急いで見なきゃ。


www.youtube.com

しかも今度は日本でシーレ展。すんごい人気でビックリ。

東京都美術館でレオポルド美術館のエゴンシーレ見れるなんて・・

2017年末にレオポルド美術館に行ったけど、人少なくて距離も近くて最高でした。
シーレとクリムトとカフェ追いかけた一人旅だったけど最高でした・・・

映画を見た2016年から6年、私たちはパンデミックをを体験し
エゴン・シーレの時代もまたスペイン風邪パンデミック時。
しかもシーレの死因にもなってるし、感慨深い。。

偶然か必然か、なんだか凄いタイミング。
疫病の後は享楽的な文化が花開くというけれど、どうなるんでしょうね。

 

6年目のブログ

ご無沙汰しております。
暫く沈黙していた個人ブログが復活です。

自由に好きなもの書こうと思って。

6年前、余りに無趣味過ぎて始めたのがブログでして。
VOGUEブロガーになったあたりから6年の間に公私ともに乱高下あって、今に至る訳なのですが。


6年前、世界的なブロガーブームは後期前半くらいで。
とにかくあの頃の収拾つかなかった無尽蔵なエネルギーが懐かしい…。


いまや猫も杓子もSNSな風潮で、写真とハッシュタグとか動画配信とか若干追いかけるのにも疲れた。
ブログブームは完全に遠い過去の現象だけど、残ったものは結構個性的ではないかと。

しかも読む側も洗練されてきて、深堀りしたい人が増えてるような気がするんですよね。
web鑑賞スタイルの多様化にともなって改めてブログっていう在り方がやっぱり好きだなと。


ということで、こちらでは少しずつ気楽に書いていければと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

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そして2010年のブログの絵出土。 
当時は下手だなんて微塵も思ってなかったし、何なら描くたびに自己ベスト更新(失笑)のつもりで毎日らくがきとブログを描きまくってて、好きなものを描けて観てもらえるのが嬉しくて仕方なかった。  ピュアか。
そういう暴走ぎみのパッションこそ、尊し。